介護保険サービスの賢い使い方

【夫婦按分とは】訪問介護ヘルパーの生活援助を2人で使う方法|現役ケアマネが条件と費用を解説

訪問介護の按分制度についてホッとした表情で話す老夫婦

(記事更新:2026年4月)

「ヘルパーさんに来てもらいたいんだけど、ダメかしら…」

担当した80代のご夫婦の奥様が、ため息まじりにこう話してくれました。

ご主人は要介護1。奥様は要支援1。二人暮らしで、子どもたちは遠方に住んでいます。

奥様は毎日、膝の痛みに耐えながらながら、掃除・洗濯・買い物・料理をこなしていました。
「私がしっかりしなきゃ」と、ずっと我慢していたんです。

そんな奥様にこう伝えたとき、表情がパッと変わりました。

「実は、お二人が要介護認定を受けていれば、ヘルパーさんに家事を手伝ってもらえる制度があるんですよ。」

それが、訪問介護の「按分制度」です。

この制度、「知らないまま損をしているご家庭が本当に多い」と感じています。

この記事では、按分制度の意味・使える条件・費用の目安まで、現役ケアマネがわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 訪問介護の「按分」とはどういう意味か
  • 夫婦2人で介護保険を使うための3つの条件
  • 1回のサービスで何をしてもらえるか
  • 自己負担額の目安
  • 介護保険では足りないときの選択肢

訪問介護の按分制度とは?「按分」の意味から解説

「按分(あんぶん)」という言葉、日常生活ではあまり聞かない言葉ですよね。まず意味から整理しましょう。

「按分」とは、ある基準に比例して、ものを公平に分けることです。簡単にいうと「二人で均等に分ける」イメージです。

訪問介護の按分制度では、ヘルパーが提供するサービス(時間・回数)を、夫婦それぞれの介護保険で公平に分けます。

たとえば、夫婦で週2回ヘルパーを利用すると、ひと月8回。

この8回を「夫4回・妻4回」と按分し、それぞれの介護保険を使ってサービス料を負担する、というわけです。

按分制度が生まれた背景(老老介護の現実)

介護保険の生活援助(家事サポート)は、原則として一人暮らしの方が対象です。

「家族がいるなら、家族が家事をすればいい」という国の考え方があるからです。

でも、現実はそんなに単純じゃない。

高齢者夫婦の世帯では、一方が要介護認定を受けていても、もう一方が認定なしだと「元気な人がいる=家事できる人がいる」と判断されてしまいます。

80代で膝が痛くても、腰が曲がっていても、認定がなければヘルパーは呼べない。

これが老老介護を限界まで追い詰める大きな原因のひとつです。
現場で何年も見てきた僕は、そう断言できます。

その壁を突破できる制度が「按分制度」です。
夫婦2人が要介護認定を受けることで、2人分の介護保険を使って家事サポートを受けられるようになります。

訪問介護ヘルパーの「生活援助」とは?按分で何を頼めるか

按分制度で利用できるのは、訪問介護の「生活援助」という家事サポートです。

よく本人や家族から「どこまで頼めるんですか?」と聞かれることが一番多いのが、この生活援助。意外と知られていないルールも多いので、ここで整理しておきます。

訪問介護のサービスは大きく2種類あります。

訪問介護の2つのサービス

  • 身体介護:入浴・排泄・食事介助など、体に直接触れるサポート
  • 生活援助:掃除・洗濯・調理・買い物など、日常の家事サポート

按分制度で主に使うのは、②の生活援助です。この記事では生活援助を中心に解説していきます。

生活援助でヘルパーにお願いできること

生活援助でヘルパーにお願いできる主な内容はこちらです。

ヘルパーにお願いできる生活援助の例

  • 掃除(居室・トイレ・お風呂など)
  • 洗濯・洗濯物の片付け
  • 買い物(日用品・食材)
  • 調理(食事の準備)
  • ゴミ捨て
  • 薬の受け取り・公共料金の支払い代行

「主婦(主夫)のお仕事」と聞いてイメージするものは、ほぼカバーできます。

「これは頼める?」具体的なケース別Q&A

「これってヘルパーさんに頼んでいいの?」と迷うケース、現場でよく聞かれるものを集めました。

Q. 洗濯物を畳んでタンスに片付けるのはOK?
A. はい、OKです。洗濯に付随する片付けは生活援助の範囲内です。

Q. 孫が来たときに泊まる布団の準備はお願いできる?
A. これはNGです。家族の分の家事は介護保険の対象外になります。

Q. スーパーで食材を買ってもらうのはいい?
A. OKです。ただし「日常の食材・日用品」に限られます。嗜好品(お酒・タバコ)や遠方の店への買い物は対象外です。

Q. 調理は和食・洋食など希望を出せる?
A. 基本的な献立の希望は出せますが、凝った料理や来客用の料理は対象外です。「本人が食べる分の、普段通りの食事」が原則と考えてください。

Q. 薬局で薬を受け取ってきてもらうのはOK?
A. OKです。処方箋が出ているお薬の受け取りは生活援助でお願いできます。

大掃除・庭掃除など「介護保険では頼めない」家事

生活援助でできないことも押さえておきましょう。

介護保険の生活援助でできないこと

  • 大掃除(窓拭き・換気扇・エアコン清掃など)
  • 庭の草むしり・植木の手入れ
  • ペットの世話
  • 家族分の家事(洗濯・食事づくり・掃除など)
  • 来客対応(お茶出し・おもてなし)
  • お正月・お盆などの特別な料理

これらは「日常生活の援助」を超える範囲と判断されるため、介護保険の対象外です。

現場で何度も経験してきた僕が正直に言うと、「大掃除だけでも頼めないか?」という相談は本当に多いです。でも、どれだけ事情を考慮しても介護保険では対応できません。

こういう「保険では頼めないけど、どうしてもやってほしい」ケースこそ、後ほど紹介する自費サービスの出番です。

 

按分制度を使える3つの条件

按分制度は「夫婦なら誰でも使える」わけではありません。3つの条件をすべて満たす必要があります。

この条件は、厚生労働省の「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について(老計第10号)」をもとにした運用ルールです。具体的な判断は自治体やケアマネジメントの解釈によって多少異なることがありますが、全国的に以下の3条件が共通しています。

按分制度を使える3つの条件

  1. 夫婦2人とも要介護(要支援)認定を受けている
  2. 高齢者のみの世帯(同居家族がいるとNG)
  3. サービス時間中、2人とも自宅にいる

それぞれ詳しく解説します。

条件① 夫婦2人とも要介護認定を受けている

夫婦どちらか一方だけが認定を受けていてもNGで、2人とも認定を受けていることが必須条件です。

要介護度の数字は関係ありません。要支援1同士でも、要介護と要支援の組み合わせでも、2人が認定を受けていればOKです。

按分制度がOKな組み合わせ例

  • 夫:要支援1 妻:要支援1 → ✅ OK
  • 夫:要介護1 妻:要支援1 → ✅ OK
  • 夫:要介護2 妻:要介護1 → ✅ OK
  • 夫:要介護1 妻:認定なし → ❌ NG

「片方がまだ認定を受けていない」という場合は、まずケアマネに要介護認定の申請を相談してください。申請から結果が出るまで通常1〜2ヶ月かかります。早めの相談が大切です。

条件② 高齢者のみの世帯(同居家族がいるとNG)

按分制度は「高齢者のみの世帯」が対象です。同居している家族(子ども・兄弟姉妹など)がいる場合は、原則として利用できません。

「仕事が忙しくて家事ができない」は残念ながら理由にならない。ただし例外もあります。

同居家族がいても例外的に利用できるケース

  • 同居家族が障害や疾病により家事ができない場合
  • 同居家族から虐待を受けている場合
  • マンションの上下階など、生活実態として別世帯の場合

条件③ サービス時間中、2人とも自宅にいる

ヘルパーがサービスを提供する時間の開始から終了まで、夫婦2人が自宅にいることが必要です。

ヘルパーは家事だけをしているわけではありません。お二人の体調・表情・生活の様子を観察しながら支援しています。

「ヘルパーが来る時間に通院が重なった」は一番よくあるトラブルです。スケジュール調整はケアマネと事前にしっかり行いましょう。

【よくある質問】按分制度Q&A

Q. 要支援1同士の夫婦でも使えますか?
A. 使えます。要介護度の数字は問いません。2人が認定を受けていればOKです。

Q. 片方がまだ認定を受けていない場合、今すぐヘルパーを呼ぶ方法はありますか?
A. あります。全額自己負担の自費サービスを使う方法です。最短当日から対応できるサービスもあります。

Q. 子どもが近くに住んでいますが、別世帯なら按分制度は使えますか?
A. 基本的には使えます。同じ建物内でも生活実態として別世帯であれば利用できるケースがあります。担当ケアマネに確認してみてください。

介護保険の按分制度には限界もある

按分制度はとても有効な制度ですが、介護保険である以上、使える回数・時間には上限があります。

たとえば、要支援1の場合、利用できる生活援助の回数は月に数回程度に限られます。「毎日来てほしい」「夜間も対応してほしい」というニーズには応えられません。

現場で何年も見てきた僕が正直に言うと、介護保険だけで在宅介護を完結させようとすること自体に、そもそも無理があります。

「もっと頼みたい」「今すぐ頼みたい」と感じたとき、介護保険の外に選択肢を持っておくことが大切です。

「もっと頼みたい」「今すぐ頼みたい」ときの選択肢

介護保険の限界を感じたとき、僕が真っ先に勧めるのが自費訪問介護「イチロウ」です。

イチロウが介護保険と違う3つのポイント

  • 回数・時間の制限なし:毎日でも、長時間でも自由に使える
  • 最短当日対応:「今日お願いしたい」に24時間365日対応
  • 家族の家事もOK:介護保険では頼めない家族分の家事も依頼できる

「按分制度を使っているけど、もう少し回数を増やしたい」「認定申請中だけど今すぐヘルパーが必要」、そんなときにイチロウはぴったりです。

詳しくはこちらの記事で解説しています^^

介護保険のサービスは生活を整えるための手段ですが、ルールが厳しく、どうしても限界が来ることもあります。

「老老介護に疲れてしまった…」「自分たち(家族)の時間が全くない」と限界を感じた時は、倒れてしまう前に以下の 『2つの選択肢』 を検討してみてください。

老老介護で頑張るあなたへ、ケアマネからひと言

老老介護をしているご夫婦を見ていて、僕がいつも思うことがあります。

二人で助け合いながら生活している姿は、本当に尊いものです。でも同時に、「もう少し早く相談してくれれば」と感じることも、正直たくさんあります。

按分制度を使えば介護保険の範囲で家事サポートを受けられます。それでも足りないと感じたら、自費サービスを組み合わせる。

「サービスを使うことは、弱さじゃない。賢い介護の選択です。」

限界が来る前に、一度相談してみてください^^

在宅介護に限界を感じたら、2つの選択肢を知っておこう

介護保険のサービスはルールが厳しく、どうしても限界が来ることがあります。
「老老介護に疲れてしまった…」「家族の時間が全くない」と感じたら、倒れてしまう前に以下の2つの選択肢を検討してみてください。

① まだ家で頑張りたい(でもたまにはゆっくり休みたい)方へ

「施設はまだ早いけど、1日ゆっくり休みたい」「ルールの縛りなく家族の家事も手伝ってほしい」。そんな時は、最短当日に呼べる保険外の自費サービス『イチロウ』をスポットで頼むのが最も賢い選択です。

↓ 「1泊の旅行」すら我慢しているあなたへ

② そろそろ施設(老人ホーム)への入居を検討したい方へ

在宅での生活がどうしても厳しくなってきたら、無理をせず施設を頼ることも大切な愛情です。まずは正しい選び方を知っておきましょう。

↓ 現役ケアマネが教える「失敗しない老人ホーム比較術」

 

以上、参考になれば嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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